【韓国の子育て(生)事情】
わたしはロシアで長女を産み、二歳までロシアで子育てをして、その後ソウルに引っ越して長男を出産、韓国で育児をしている。育児をする上で、ロシアではかなり戸惑うことがあったけれど、韓国は日本と気候も文化も似てるし、そんなに大きな違いはないだろうと思っていた。でも、それは大間違いだった。
違うだけならいいのだけれど、その違いをこちらに押し付けられるのには、正直とほほである。そんな例を二つ挙げてみる。
ひとつ目は「エギ、チュプケッタ」。
韓国で子連れで外を歩いていると「エギ、チュプケッタ(子供が寒そう)」とよく言われる。韓国では子供にかなり厚着をさせるので「子供には大人より一枚少なく」という日本の感覚で着せていると、「寒そう」といわれてしまうのだ。
たとえばズボンと靴下の隙間から肌がちょっと見えていると、通りすがりのおばちゃんが「エギ、チュプケッター」と言いながらズボンや靴下をひっぱって素肌を覆おうとする。
赤ちゃんの場合、それが更に激しくなる。大人がみんな半そでを着ている暑い季節だというのに、生後数ヶ月の下の子を連れてちょっと外に出たとき「まあ、半そで半ズボンで涼しそうにしてるのね」と驚いたように(というより非難がましく)言われたことがある。
韓国人はとても情が厚いので、他人の子にもつい色々と口出し手出しをしてしまうのだろう。でも、この「エギ、チュプケッタ」をうっとおしく思っているのはわたしだけではない。韓国在住のお母さんたちが集まると、みんな同じような話をしている。
ここに来る前にロシアに住んでいたわたしたちは、寒さにはちょっと慣れているつもり。上の子なんかはロシア生まれ、二歳までロシア育ち。氷点下で毎日二時間も外を散歩していた「ツワモノ」なのである。外を何時間も散歩するわけでもないのに、なんでロシアと同じように着せなくちゃいけないの?と、とっても納得がいかないわたしである。のだが、最近では、お天気に合わせるというより「これだったらチュプケッタとは言われないかな?」と考えながら子供の服を選んでいる状態で、なんか違うなあと自分でもおかしくなる。
もうひとつのコマリモノは「アメ攻撃」。韓国では、子連れで歩くとアメにあたる。
子連れで買い物に出かける。お店の売り子の姉ちゃん、おばちゃんが「○★△〜!」とひとしきり子供の相手をした後、必ずアメを取り出してくれる。袋入りのお菓子が袋ごと渡されることもある。
病院に行く。小児科、耳鼻科など子供がよく行くところでは、受付の前にアメ入れがあって「ご自由にお取りください」状態になっている。医者を見て子供が泣くと「アメあげるからね〜」。
処方箋をもらって薬局へ行く。レジの前にやっぱりアメが「ご自由にお取りください」。
先日は小児歯科に行った。まさかと思ったが、さすがに受付にアメはなかった。が、しかし。上の子が泣いて大騒ぎして診療を終えた後、看護婦さんが「いい子だったからアメあげるね〜」。思わず目が点になったわたしを見たのか、彼女は慌てて「これは歯が悪くならないアメだからね〜♪」と付け加えていたが。そんなものほんとにあるのか?
ロシアにいる間は、子供にむやみやたらにお菓子を与えないという方針を掲げていたわたしの育児は、韓国に来てズタボロになった。最初はいちいちアメを取り上げていたけれど、最近はあきらめて歯磨きに専念するようにしている。
が、しかし。三歳をすぎた上の子の場合は妥協しよう。でも、まだ六ヶ月にもならない赤ちゃんにお菓子をやるのにはひえ〜っである。先日は、まだ離乳食もぼちぼちしか始めていない下の子に、クリームサンドビスケットとかっぱえびせんを握らせられた。わたしは目を三角にして取り上げてしまった。お腹こわすってば!!!
Sep.2003 written by ミチコ@元ロシア